千葉、北海道、愛知、茨城。東京は十年で半分以下に。都道府県の数字で見る解体の地図
使用済みの車は、全国で同じように解体されているわけではありません。引き取られる数も、解体される数も、県によって大きく違います。この十年で、増えた県と、半分以下になった県があります。自動車リサイクル促進センターのデータBook に載っている都道府県ごとの数字を、地図を読むように見ていきます。
CHAPTER 1車は、どこで引き取られているか
1-1 いちばん多いのは千葉県
使用済みの車が最初に通るのは、引取りの工程です。持ち主から車を受け取った引取業者が、その報告をします。データBook は、この報告の件数を、引取業者の事業所がある都道府県ごとに集計しています。
2024 年度(令和 6 年度)の全国の合計は 2,560.7 千件でした。いちばん多いのは千葉県の 219.3 千件です。二番目の北海道の 144.4 千件を、大きく引き離しています。
人口の多い順とは、合っていません。東京都は 21.7 千件、大阪府は 49.6 千件、神奈川県は 63.9 千件です。京都府の 105.1 千件は、大阪府の二倍を超えます。
この数は、車が使われていた場所ではなく、引き取った事業所の場所で数えたものです。車は、持ち主の手を離れたあと、引き取る事業所のある県へ動きます。数字が示しているのは、引取りの仕事がどこに集まっているか、です。
上の八つの道府県を合わせると、全国の四割を超えます。引取りの仕事は、限られた地域に集まっています。
1-2 増えた県、半分以下になった県
十年の変化を見ます。全国の合計は、2015 年度の 3,156.5 千件から、2024 年度は 2,560.7 千件になりました。2015 年度の 81 パーセントです。その中で、県ごとの動きは大きく分かれています。
| 都道府県 | 2015 年度 | 2024 年度 | 2015 年度比 |
|---|---|---|---|
| 茨城県 | 97.7 | 132.8 | 136 パーセント |
| 佐賀県 | 38.3 | 44.4 | 116 パーセント |
| 和歌山県 | 37.0 | 41.4 | 112 パーセント |
| 沖縄県 | 60.5 | 61.8 | 102 パーセント |
| 岩手県 | 44.2 | 26.4 | 60 パーセント |
| 秋田県 | 55.4 | 31.0 | 56 パーセント |
| 福井県 | 28.5 | 12.2 | 43 パーセント |
| 東京都 | 51.2 | 21.7 | 42 パーセント |
全国が二割減るなかで、増えた県は四つだけです。茨城県、佐賀県、和歌山県、沖縄県です。茨城県は 97.7 千件から 132.8 千件へ、三割あまり増えました。
減り方がいちばん大きいのは東京都です。51.2 千件から 21.7 千件になりました。2015 年度の 42 パーセントです。福井県も 43 パーセントで、ほぼ同じ減り方です。
千葉県は 242.7 千件から 219.3 千件で、90 パーセントでした。数は減っても、全国の減り方よりは小さく、一位のままです。
なぜそうなったのかは、この表には書かれていません。数字から言えるのは、引取りの仕事の場所が、十年のあいだに動いた、ということです。
1-3 引き取っているのは、だれか
引取業者には、いろいろな業種の事業者が登録しています。新車の販売店、中古車の販売店、整備工場、解体業者です。データBook は、業種ごとの件数も出しています。
2024 年度は、解体や破砕の事業者による引取りが 2,225.1 千件で、全体の 86.9 パーセントでした。中古車の販売が 232.2 千件で 9.1 パーセント、新車の販売が 52.6 千件で 2.1 パーセント、整備が 50.8 千件で 2.0 パーセントです。
十年前は、少し違いました。2015 年度は、新車の販売による引取りが 193.8 千件で、6.1 パーセントありました。それが四分の一近くまで減っています。整備も 137.0 千件から 50.8 千件に減りました。
事業所の数にも、それが出ています。引取業者として登録されている事業所は 39,068 ありますが、2024 年度に実際に報告をしたのは 9,873 です。25.3 パーセントにあたります。2015 年度は 31.4 パーセントでした。
車を買い替えるとき、古い車を販売店に渡す人は多いはずです。けれども、使用済みの車として引き取る報告をしているのは、九割近くが解体や破砕の事業者です。販売店が受け取った車の多くは、中古車として次へ渡っている、と読むことができます。
CHAPTER 2車は、どこで解体されているか
2-1 解体の工程でも、千葉県が一位
次は、解体の工程です。解体業者が車を引き取った報告を、事業所のある都道府県ごとに集計したものです。
顔ぶれは、引取りの工程とほとんど同じです。千葉県が 222.6 千件で一位、北海道が 153.5 千件、愛知県が 152.4 千件、茨城県が 141.3 千件と続きます。
全国の合計は 2,646.8 千件でした。引取りの工程の合計より多いのは、解体業者から別の解体業者へ車が渡る場合も、数に入っているからです。国の資料によると、同じ工程の中での移動は 2024 年度に 72,386 件ありました。
十年の変化も、引取りと同じ向きです。全国は 2015 年度の 80 パーセントになりました。茨城県は 127 パーセント、佐賀県は 113 パーセント、和歌山県は 112 パーセントに増えています。
京都府は、引取りでも解体でも、十万件を超えています。2015 年度の解体は 137.0 千件で、兵庫県の 156.4 千件に次ぐ大きさでした。沖縄県は 63.3 千件で、2015 年度の 63.9 千件とほとんど変わっていません。
減ったほうでは、福井県が 43 パーセント、東京都が 47 パーセント、秋田県が 51 パーセントでした。引取りが減った県では、解体も減っています。
2-2 引取りと解体の数が、違う県
二つの工程の数を、県ごとに並べてみます。同じ県でも、引き取られた数と、解体された数は、ぴったりは合いません。
| 都道府県 | 引取りの工程 | 解体の工程 |
|---|---|---|
| 愛知県 | 140.2 | 152.4 |
| 茨城県 | 132.8 | 141.3 |
| 北海道 | 144.4 | 153.5 |
| 千葉県 | 219.3 | 222.6 |
| 大阪府 | 49.6 | 46.8 |
| 東京都 | 21.7 | 15.8 |
| 滋賀県 | 7.5 | 6.6 |
愛知県は、引取りが 140.2 千件、解体が 152.4 千件です。解体のほうが多くなっています。茨城県と北海道も同じです。
東京都は逆です。引取りが 21.7 千件、解体が 15.8 千件でした。大阪府と滋賀県も、解体のほうが少なくなっています。千葉県は、引取りが 219.3 千件、解体が 222.6 千件で、ほとんど差がありません。
解体のほうが多い県には、ほかの県で引き取られた車が入ってきている、と読めます。解体のほうが少ない県からは、車が外へ出ています。ただし、解体の工程の数には、解体業者のあいだの移動も入っているので、差のすべてが県をまたぐ動きとは言えません。
使用済みの車は、引き取られた場所で解体されるとは限りません。値の付くところへ、運ばれていきます。
2-3 一つの事業所が扱う数は、県で五倍違う
データBook は、解体の工程について、引取りの件数を稼働事業所の数で割った値も載せています。一つの事業所が、一年に平均で何台を扱ったか、という数です。
| 都道府県 | 稼働事業所 | 一事業所あたりの件数 |
|---|---|---|
| 和歌山県 | 21 | 1,997.2 |
| 広島県 | 40 | 1,676.9 |
| 石川県 | 17 | 1,644.8 |
| 佐賀県 | 29 | 1,584.2 |
| 京都府 | 74 | 1,457.7 |
| 全国 | 3,275 | 808.2 |
| 大阪府 | 103 | 454.0 |
| 東京都 | 38 | 416.7 |
| 山梨県 | 33 | 380.4 |
| 滋賀県 | 22 | 300.3 |
全国の値は 808.2 件です。いちばん大きいのは和歌山県の 1,997.2 件、いちばん小さいのは滋賀県の 300.3 件でした。六倍を超える開きがあります。
和歌山県は、事業所が 21 しかありません。それで 41.9 千件を扱っています。少ない事業所に、車が集まっている形です。京都府も、74 の事業所で 107.9 千件です。
大阪府と東京都は、事業所の数のわりに、扱う数が少なくなっています。東京都は 38 の事業所で 15.8 千件、一事業所あたり 416.7 件でした。全国の値のおよそ半分です。
ただし、これは平均です。全国で見ると、年に一万件を超える事業所から、十件に満たない事業所まであります。平均が小さい県は、小さな事業所が多い県だ、と読むのがよいでしょう。
CHAPTER 3東京と、そのまわり
3-1 東京都の十年
東京都の数字を、まとめて見ます。この十年で、どの数も大きく減りました。
| 項目 | 2015 年度 | 2024 年度 |
|---|---|---|
| 引取りの工程の報告(千件) | 51.2 | 21.7 |
| 解体の工程の報告(千件) | 33.7 | 15.8 |
| 解体の工程の稼働事業所 | 64 | 38 |
引取りは 51.2 千件から 21.7 千件へ。解体は 33.7 千件から 15.8 千件へ。解体の稼働事業所は 64 から 38 へ。どれも、半分か、それ以下です。
東京都は、十年前から、引取りより解体が少ない場所でした。2015 年度も、引取りの 51.2 千件に対して、解体は 33.7 千件です。都内で引き取られた車の一部は、もとから都の外で解体されていました。
事業所の数は、年ごとに追えます。2015 年度の 64 から、2018 年度に 48、2020 年度に 43、2022 年度に 40 と減り、2023 年度に 42 へ少し戻って、2024 年度は 38 です。
同じ十年に、全国の稼働事業所は 3,732 から 3,275 になりました。一割あまりの減りです。東京都の減り方は、その三倍を超えます。
都内で解体の仕事を続けている事業所は、全国の 3,275 のうち 38 です。百に一つほどしかありません。
3-2 首都圏の中での、入れ替わり
東京のまわりの県は、どうでしょうか。四つの県を並べると、向きが二つに分かれます。
| 県 | 引取り 2015 年度 | 引取り 2024 年度 | 事業所 2015 年度 | 事業所 2024 年度 |
|---|---|---|---|---|
| 千葉県 | 242.7 | 219.3 | 347 | 366 |
| 茨城県 | 97.7 | 132.8 | 181 | 233 |
| 埼玉県 | 131.4 | 94.7 | 165 | 132 |
| 神奈川県 | 102.9 | 63.9 | 131 | 83 |
茨城県は、引取りも事業所も増えました。引取りは 97.7 千件から 132.8 千件へ、事業所は 181 から 233 へ。千葉県は、引取りは少し減りましたが、事業所は 347 から 366 に増えています。
埼玉県と神奈川県は、どちらも減りました。神奈川県は、引取りが 102.9 千件から 63.9 千件へ、事業所が 131 から 83 へ。東京都と同じくらいの減り方です。埼玉県は、引取りが 131.4 千件から 94.7 千件へ、事業所が 165 から 132 へ減りました。
2015 年度には、埼玉県の引取りは茨城県より多く、131.4 千件と 97.7 千件でした。2024 年度は逆になり、茨城県の 132.8 千件に対して、埼玉県は 94.7 千件です。
首都圏の解体の仕事は、東京都、神奈川県、埼玉県から、千葉県と茨城県のほうへ移っています。数字は、その向きをはっきり示しています。
3-3 残りかすの量で見ても、関東がいちばん多い
最後に、別の数字で確かめます。破砕のあとに残るシュレッダーダストの重さです。破砕業者のある地域で分けた数が、データBook に載っています。
2024 年度は、関東・甲信越が 116,669 トンで、いちばん多くなっています。中部が 76,694 トン、九州・沖縄が 58,225 トン、近畿が 53,273 トン、東北が 52,412 トンと続きます。
十年前と比べると、どの地域も減っています。関東・甲信越は、2015 年度が 141,963 トンでした。近畿は 81,152 トンから 53,273 トンへ、大きく減っています。
解体と破砕の仕事は、車が多く使われている場所の近くで、広い土地が取れるところに集まる。そう考えると、数字の並びは分かりやすくなります。ただ、これは数字から私が読んだことで、資料がそう説明しているわけではありません。
資料が示しているのは、数です。どの県で、何台が、いくつの事業所で扱われたか。その数が、十年でどちらへ動いたか。理由を考えるときも、まず数を確かめるところから始めるのがよいと思います。
SOURCES出典
- 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター「自動車リサイクルデータBook 2024」
https://www.jarc.or.jp/renewal/wp-content/uploads/2018/10/databook2024.pdf(2026-10-02 確認) - 経済産業省・環境省「自動車リサイクル法の施行状況」(令和7年9月5日)
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/060_s02_00.pdf(2026-10-02 確認)
この記事は、上の資料の原文を確かめたうえで書いています。台数や割合などの数は、資料に書かれているものだけを使いました。制度や手続き、税金の決まりは変わることがあります。実際の手続きは、運輸支局、税務署、都道府県の窓口などでお確かめください。