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使用済みの車は、年に何台出て、どこへ行くのか

一年に 256 万台。長く乗られ、海を渡り、解体に回る車は減っている

一年に 256 万台。長く乗られ、海を渡り、解体に回る車は減っている

日本で一年に解体に回る車は、何台あるのでしょうか。2024 年度は 256 万台でした。制度が始まってから、いちばん少ない数です。車は長く使われるようになり、中古車として輸出される車が増えました。解体のあとの行き先も変わってきています。国と自動車リサイクル促進センターの資料で、車の流れを順にたどります。

CHAPTER 1一年に 256 万台

1-1 制度が始まってから、いちばん少ない

「使用済自動車」とは、役目を終えて、解体に回される車のことです。持ち主は、登録を受けた引取業者に引き渡します。国は、引き取られた台数を毎年まとめています。

2024 年度(令和 6 年度)に引き取られた使用済自動車は、256 万台でした。前の年度は 273 万台です。データBook は、自動車リサイクル法が始まってから過去最低になった、と書いています。

FIGURE使用済自動車の引取台数(万台)。横の数字は年度で、西暦の下二けた
30505
35706
37107
35808
39209
36510
29611
34112
34313
33314
31615
31016
33017
33818
33619
31520
30421
27422
27323
25624

制度が本格的に始まった 2005 年度は 305 万台でした。いちばん多かったのは 2009 年度の 392 万台です。そのあとは三百万台の前半で上下し、2022 年度からは三百万台を割っています。

法律が始まってから 2024 年度までに出た使用済自動車は、累計で約 6,500 万台です。審議会の報告書の案は、発生する台数が 2018 年度から毎年減っている、とまとめています。

ここで、見かたを一つ確かめておきます。使用済みの車が減ることは、それだけなら悪い知らせではありません。法律は、車をなるべく長く使って、使用済みになるのを抑えるよう、持ち主にも求めているからです。

1-2 車は、長く使われるようになった

減った理由の一つは、車が長く使われるようになったことです。引き取られた車が、新車のときから何年使われたか。その平均が、毎年出されています。

TABLE引き取られた車の平均使用年数(年)
年度平均使用年数
200512.0
201013.4
201514.9
202016.0
202417.0

2005 年度は 12.0 年でした。2024 年度は 17.0 年です。二十年で、五年のびました。報告書の案によると、15 年を超えたのは 2016 年度で、そのあとも毎年のび続けています。

登録車と軽自動車で分けても、ほとんど同じです。2024 年度は、登録車が 16.8 年、軽自動車が 17.1 年でした。軽自動車のほうが、少しだけ長く使われています。

自動車リサイクル法は、長く使うことを、作る側と使う側の両方に求めています。メーカーには、長く使われるように設計と部品を工夫すること。持ち主には、なるべく長く使って、使用済みになるのを抑えるよう努めること。条文にそう書かれています。

長く使われた車が来るということは、解体の現場にとっては、古い年式の車が多いということでもあります。引き算をすると、いま引き取られている車の平均は、2007 年ごろに新車だった車です。

1-3 どんな車が来ているか

引き取られる車の中身も、資料から分かります。自動車リサイクル促進センターは、2024 年度の引取台数のうち、軽自動車が約 50 パーセントを占める、と書いています。

メーカーごとの数も出ています。次の図は、2024 年度の引取報告の件数です。

FIGUREメーカーごとの引取報告(千件・2024 年度)
トヨタ自動車469.2
スズキ425.8
ダイハツ工業409.2
日産自動車374.6
本田技研工業352.1
三菱自動車工業126.2
SUBARU113.3
マツダ113.3
輸入車等100.9

軽自動車を多く作るスズキとダイハツ工業が、二番目と三番目に入っています。輸入車などは 100.9 千件で、全体のおよそ 4 パーセントです。2015 年度は 122.2 千件でした。

電動車は、まだ少数です。2024 年度に引き取られたハイブリッド車は 117,807 件で、全体の 4.60 パーセントでした。2015 年度は 9,969 件で、0.32 パーセントです。九年で十倍を超えました。

電気自動車は 4,618 件で、0.180 パーセントです。新車では、ハイブリッド車が預託台数の 46.5 パーセントを占めるようになっています。この車が解体の現場に来るのは、平均の使用年数から見て、まだ先のことです。

CHAPTER 2解体に回らなかった車の行き先

2-1 日本の車の一年

使用済みの車の数は、ほかの数と並べると意味が見えてきます。報告書の案と国の資料から、2024 年度の数を拾います。

TABLE日本の車の一年(2024 年度。中古車の登録は 2024 年)
項目台数
保有されている車(年度末)約 7,859 万台
新車の販売約 458 万台
中古車の登録650 万台
オートオークションの流通755 万台
輸出抹消登録(中古車の輸出)184 万台
使用済自動車の引取り256 万台

保有されている車は約 7,859 万台で、増える傾向にあります。新車は約 458 万台が売られました。出ていく車は、解体に回る 256 万台と、輸出される 184 万台です。

中古車の登録は、毎年 600 万台ほどで横ばいです。この数は、新規の登録、持ち主が変わる登録、使用者の名前が変わる登録の三つを合わせたもので、小売りの台数とは違う、と資料に注があります。

報告書の案は、日本の仕組みの特徴を一つ挙げています。車検の制度と、電子マニフェストの制度によって、車が登録されてから、輸出されるか、解体されるまで、一台ずつ追える。このような制度は外国にも例がない、という書き方です。

2-2 中古車として海を渡る

輸出される車は、増えています。輸出抹消登録の台数は、2005 年度が 107 万台でした。2021 年度は 146 万台、2022 年度は 152 万台、2023 年度は 183 万台、2024 年度は 184 万台です。

行き先も、データBook に載っています。財務省の貿易統計をもとにした数で、2024 年度の輸出の総台数は 1,580 千台でした。

FIGURE中古車の輸出先(千台・2024 年度)。仕向地で、使われる国と同じとは限らない
アラブ首長国連邦227
ロシア192
モンゴル108
タンザニア85
ニュージーランド74
チリ68
ケニア67
南アフリカ共和国55
タイ51
フィリピン44

十年前と比べると、顔ぶれも変わっています。2015 年度の一位はアラブ首長国連邦の 145 千台、二位はミャンマーの 137 千台でした。2024 年度の上位十か国に、ミャンマーは入っていません。ロシアは 45 千台から 192 千台に増えました。データBook は、円安と強い海外の需要を背景に、輸出が高い水準で続いた、と書いています。

リサイクル料金を預けた車を輸出すると、持ち主は料金の返還を受けられます。2024 年度に返還を受けた車は 163 万台でした。この車の平均使用年数は 11.1 年です。

解体に回る車の平均は 17.0 年でした。六年ほど若い車が、海を渡っていることになります。国内でもう少し使われてから解体に回るはずだった車が、その前に出ていく形です。

2-3 オークションで、解体業者は競り負ける

解体業者は、使用済みの車をどこから手に入れるのでしょうか。報告書の案は、オートオークションが重要な調達の手段の一つになっている、と書いています。

オートオークションの一年の出品は約 750 万台、成約は約 530 万台です。案は、海外の需要や円安を背景に、国内の中古車の相場が高止まりしている、と見ています。

経済産業省は、解体業者にアンケートをしました。この十年で、使用済みの車の調達台数が減ったと答えた解体業者は 85 パーセント以上でした。オークションを通した調達の割合が増えたと答えたのは 50 パーセント以上です。

ところが、使用済みの車を手に入れる目的で入札したときの、平均の落札率は約 2 割でした。案は、調達の手段として不安定だ、と書いています。

理由として挙がる話の一つが、料金の返還です。輸出業者は、輸出すればリサイクル料金の返還を受けられます。解体業者は受けられません。ただし案は、輸出業者には陸送や海上輸送などの費用もかかるので、有利か不利かは返還の制度だけでは決まらない、とも書いています。

CHAPTER 3解体されたあと

3-1 解体から破砕へ

引き取られた車は、フロン類の回収、解体、破砕と進みます。解体業者は、エアバッグ類や、廃油、タイヤ、バッテリーなどを回収します。使える部品を取り外すのも、この工程です。

残った車体は「解体自動車」と呼ばれます。現場の言葉では、廃車ガラです。2024 年度に解体業者が引き渡した解体自動車は、破砕業者へが 235.5 万件、非認定全部利用者へが 21.5 万件でした。

破砕業者は、プレスやシュレッダーにかけて、鉄や非鉄金属を選び分けます。残ったものがシュレッダーダストで、ASR と呼ばれます。2024 年度に、破砕業者から ASR の指定引取場所へ引き渡されたのは 225.1 万件でした。

破砕をせずに、車体をそのまま鉄鋼の原料にする道もあります。これを全部利用と言います。国の認定を受けた利用者へ破砕業者が引き渡したのは 14.0 万件でした。認定のない利用者へは 0.8 万件です。

認定のない全部利用には、二つの中身があります。国内の電炉などに入れる場合と、廃車ガラのまま輸出する場合です。次の項で見るのは、後のほうです。

3-2 廃車ガラのまま、輸出される車

解体したあとの車体を、国内で破砕せずに輸出する。この数が、急に増えています。

FIGURE廃車ガラの輸出(非認定全部利用)の台数(千台)
852015
952016
962017
1202018
1442019
1442020
1332021
1572022
1812023
2182024

2015 年度は 85 千台でした。2024 年度は 218 千台です。このうち、解体の工程から直接出たものが 213,499 件でした。報告書の案は、2024 年度に初めて 20 万台を超えた、と書いています。

自動車リサイクル促進センターは、理由をいくつか挙げています。海外の中古車の需要、中古部品の市場の成熟、為替、海外の部品の買い手の日本への進出、国内の解体業者の海外への進出などです。

報告書の案は、心配も書いています。輸出向けの廃車ガラの中に、フロン類やエアバッグ類が回収されていないなど、法令違反が疑われるものが確かめられた、というものです。記録の上でも、エアバッグ類などが「無かった」と報告される割合が、ふつうの約 2 倍以上でした。

一方で、その割合が高い上位 30 者を調べたところ、違反の事例はほとんど確かめられなかった、とも書かれています。案は、証拠になる書類の保存や、輸出のときの証明書類の提示などを、2026 年度から検討するべきだとしています。

3-3 かかる日数と、これからの台数

車は、引き取られてから何日で処理が終わるのでしょうか。データBook は、工程ごとの平均の日数を出しています。

2024 年度は、引取りからリサイクルの処理が終わるまでの平均が 38.1 日でした。このうち、解体の工程の中にある日数は平均 7.8 日です。

持ち主にとって大事なのは、もう一つの日数です。引取りから、永久抹消の手続きに必要な情報が取れるようになるまで。これは平均 12.2 日でした。車を渡してから二週間ほどで、手続きに進めることになります。

これからの台数については、自動車リサイクル促進センターが、お金の見通しを立てるための前提を示しています。2050 年度の新車の販売を 342 万台、使用済自動車を 180 万台と置いたものです。

これは予測ではなく、計算のための前提です。それでも、制度を動かす側が、使用済みの車はこれからも減ると見て備えていることは分かります。一年に 256 万台という今の数は、その途中の一点です。

SOURCES出典

  1. 経済産業省・環境省「自動車リサイクル法の施行状況」(令和7年9月5日)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/060_s02_00.pdf(2026-10-02 確認)
  2. 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター「自動車リサイクルデータBook 2024」
    https://www.jarc.or.jp/renewal/wp-content/uploads/2018/10/databook2024.pdf(2026-10-02 確認)
  3. 産業構造審議会・中央環境審議会 合同会議「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)」
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/066_03_00.pdf(2026-10-02 確認)
  4. 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター「自動車リサイクルに関するデータ/活動実績 等」(2025年10月14日)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/061_04_00.pdf(2026-10-02 確認)

この記事は、上の資料の原文を確かめたうえで書いています。台数や割合などの数は、資料に書かれているものだけを使いました。制度や手続き、税金の決まりは変わることがあります。実際の手続きは、運輸支局、税務署、都道府県の窓口などでお確かめください。

CONTRIBUTOR山岸 勇輝Yuuki YAMAGISHI

独立研究者(Independent Researcher)。公式の資料や統計など、一次の資料にあたって書くことを続けている。

yamagishiyuuki.com

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