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解体業者は、全国に何社あるのか

統計の分類、法律の許可、動いている事業所。三つの数え方で見る

統計の分類、法律の許可、動いている事業所。三つの数え方で見る

車を解体する事業者は、全国にどれくらいあるのでしょうか。答えは、数え方で変わります。国の統計の分類には「自動車解体業」という一つの箱がありません。法律の許可で数えると約四千、実際に車を引き取った事業所で数えると約三千です。国の資料で、その数と移り変わりを確かめます。

CHAPTER 1数え方は三つある

1-1 統計の分類に「自動車解体業」の箱はない

国の統計は、事業所を「日本標準産業分類」で仕分けます。ところが、この分類の表を探しても、「自動車解体業」という名前の箱は見つかりません。ここで見たのは、平成 25 年 10 月に改定された版です。

解体の仕事は、二つの箱に分かれて入っています。一つは細分類 5423 の「自動車中古部品卸売業」です。説明には、主として自動車の中古部品を卸売する事業所、とあります。事例の欄に「自動車解体業(部品取りを主とするもの)」が挙がっています。

もう一つは細分類 5362 の「鉄スクラップ卸売業」です。こちらの事例の欄には「廃車処理業(解体を主とするもの)」が入っています。5423 の側には、合わない事例としてこの廃車処理業が書かれていて、行き先は 5362 だと示されています。

つまり、部品を取って売ることが主なら中古部品の卸売、車を解体して鉄にすることが主なら鉄スクラップの卸売、という分け方です。どちらも大分類は「卸売業,小売業」です。鉄スクラップを電気炉にそのまま入れられるように加工する事業所は、製造業の 2292 に分類される、とも書かれています。

このため、統計から「解体業者の数」を一つの数字で取り出すことはできません。同じ箱に、解体をしない部品の卸売や、車のほかの鉄くずを扱う問屋も入っているからです。

1-2 法律の許可で数える

もう一つの数え方は、法律の許可です。自動車リサイクル法では、解体業と破砕業は、都道府県知事などの許可を受けなければ営めません。引取業とフロン類回収業は登録制です。

国は毎年、この登録と許可の数をまとめています。2024 年度(令和 6 年度)の終わりの時点で、解体業者は 4,081 でした。破砕業者は 990、引取業者は 22,387、フロン類回収業者は 7,817 です。四つを合わせると 35,275 になります。

この数には、ただし書きが付いています。同じ事業者が複数の自治体で登録や許可を受けている場合は、それぞれの自治体で数えている、というものです。会社の数そのものではなく、許可の数に近いものです。

TABLE登録と許可の数(年度末)
業種2005 年度2024 年度
引取業者(登録)88,12222,387
フロン類回収業者(登録)23,3877,817
解体業者(許可)6,2514,081
破砕業者(許可)1,224990
合計118,98435,275

許可を受けるには、基準があります。制度が始まる前に国が配った Q&A は、その概要を二つに分けて書いています。施設の基準は、コンクリートの床と油水分離装置などを備えた解体作業場を持つこと、囲いがあって範囲がはっきりした保管場所を持つこと、などです。

能力の基準は、解体の手順を書いた標準作業書を作って従業員に徹底すること、事業計画書か収支見積書から見て、解体業を続けられると判断されること、です。部品を取るだけの場合でも、使用済みの車から取るなら解体業の許可が要る、と同じ Q&A は書いています。

1-3 動いている事業所で数える

三つ目は、実際に動いている事業所の数です。使用済みの車は、電子マニフェストという仕組みで、一台ずつ引取りと引渡しが報告されます。報告をするために、事業者は情報管理センターに事業者と事業所を登録します。

2024 年度の終わりに登録されていた解体業者は、事業者が 4,545、事業所が 4,883 でした。このうち、その年度に引取りの実績があった事業所は 3,222 です。

データBook は、この割合を出しています。登録された事業所のうち、その年度に移動報告をした「稼働事業所」は 66.0 パーセントでした。三つに一つは、登録はあっても、その年には車を引き取っていないことになります。

許可の数が 4,081、登録の事業所が 4,883、動いている事業所が 3,222。同じ「解体業者」でも、どの数を使うかで千以上の開きがあります。数を引くときは、どの数え方かを添える必要があります。

この記事では、ここから先、許可の数と稼働事業所の数を、別々のものとして追っていきます。

CHAPTER 2二十年の移り変わり

2-1 許可の数は、およそ三分の二になった

自動車リサイクル法が本格的に動き出したのは、2005 年 1 月です。その年度の終わりに、解体業者の数は 6,251 でした。

最近の四年を並べると、2021 年度末が 4,231、2022 年度末が 4,273、2023 年度末が 4,263 で、ほぼ横ばいでした。2024 年度末は 4,081 に減っています。二十年で、およそ三分の二になりました。

FIGURE解体業の許可の数(年度末)。2006 年度から 2020 年度は、確かめた資料に載っていない
6,2512005
…
4,2312021
4,2732022
4,2632023
4,0812024

ほかの業種は、もっと大きく減っています。引取業者は 88,122 から 22,387 へ、フロン類回収業者は 23,387 から 7,817 へ。四つの合計は 118,984 から 35,275 になりました。

引取業者は、車の販売店や整備工場などが登録することを想定したものです。使用済みの車を持ち主から受け取る、入口の役目です。減り方は、業種でかなり違います。

破砕業者は 1,224 から 990 になりました。2024 年度末の 990 のうち、シュレッダーを持つのは 110 で、残りの 880 はプレスやせん断だけを行う事業者です。

2-2 動いている事業所の十年

データBook は、解体工程の稼働事業所の数を十年分のせています。2015 年度は 3,683 でした。そこから毎年少しずつ減り、2020 年度に 3,236、2024 年度は 3,222 です。

FIGURE解体工程の稼働事業所の数(その年度に移動報告をした事業所)
3,6832015
3,6052016
3,5252017
3,4502018
3,3672019
3,2362020
3,2332021
3,2512022
3,2732023
3,2222024

2020 年度からは、三千二百台でほとんど動いていません。登録の事業所のほうは、2015 年度の 5,795 から 2017 年度に 4,933 へ大きく減り、その後は五千の少し下で動いています。2024 年度は 4,883 でした。

稼働の割合は、2015 年度が 63.6 パーセント、2017 年度が 71.5 パーセント、2024 年度が 66.0 パーセントです。登録が整理された年に割合が上がり、そのあとは少しずつ下がっています。

その一方で、扱う車の数は減っています。解体工程の引取報告は、2015 年度の 3,306.2 千件から、2024 年度は 2,646.8 千件になりました。

動いている事業所の数はこの五年ほとんど変わらず、車は減っています。一つの事業所に回ってくる車は、平均すると少なくなっていることになります。

2-3 車は、大きい事業所に集まっている

平均だけでは、実際の姿は見えません。データBook は、一年に引き取った件数で事業所を五つの層に分けています。

TABLE一年の引取報告の件数で分けた、解体の事業所(2024 年度)
一年の引取報告事業所の数引取報告(千件)
1 件から 10 件3891.7
11 件から 100 件85940.1
101 件から 1,000 件1,464543.0
1,001 件から 10,000 件5361,579.6
10,001 件以上27470.8

一年に千件を超える事業所は、上の二つの層を合わせて五百六十あまりです。この二つの層だけで、引取報告の四分の三を超えます。

反対に、一年に 100 件以下の事業所は千二百を超えますが、件数は全体の 2 パーセントに届きません。数の上では小さな事業所が多く、車の流れは大きな事業所に集まっています。

いちばん大きい層にも変化があります。一年に 10,001 件以上を引き取る事業所は、2015 年度は 54 で、引取報告は 888.9 千件でした。2024 年度は 27 で、470.8 千件です。数も件数も、ほぼ半分になりました。

まんなかの層は、あまり動いていません。101 件から 1,000 件の層は、2015 年度が 1,568 事業所で 555.0 千件、2024 年度が 1,464 事業所で 543.0 千件でした。

CHAPTER 3いま起きていること

3-1 事業所は、どこに多いか

稼働事業所の数は、都道府県でかなり違います。2024 年度にいちばん多かったのは千葉県の 366 で、次が茨城県の 233 でした。全国の合計は 3,275 です。この表は年度の途中でやめた事業所も数えているので、前の章の 3,222 とは少し違います。

FIGURE解体工程の稼働事業所が 100 を超える九つの道府県と、東京都(2024 年度)
千葉県366
茨城県233
北海道190
愛知県189
福岡県146
埼玉県132
兵庫県116
沖縄県104
大阪府103
東京都38

十年の動きも、場所で違います。茨城県は 2015 年度の 181 から 233 に増えました。千葉県は 347 から 366 です。東京都は 64 から 38 に、神奈川県は 131 から 83 に、大阪府は 125 から 103 に減りました。

データBook は、引取件数を事業所の数で割った値も載せています。2024 年度の全国の値は 808.2 件でした。東京都は 416.7 件、千葉県は 608.3 件です。

東京都、神奈川県、大阪府では減り、茨城県と千葉県では増えた、というのが数字に出ている形です。埼玉県は 165 から 132 に減っていて、首都圏でも県によって向きが違います。理由までは、この表には書かれていません。

3-2 新しく入ってくる事業者

国の審議会は、制度を見直す報告書の案をまとめています。その中に、解体業者の国籍を調べた結果があります。法人の場合は代表者の国籍です。

2025 年 3 月末の時点で、解体業者 4,067 者のうち、日本が約 7 割を占めていました。一方、2022 年度から 2024 年度に新しく許可を取った 426 者では、日本以外の国籍が約 7 割でした。

自治体による指導と助言は、2024 年度に 1,736 件ありました。報告書の案は、解体業者への指導の件数が突出して多い状況が続いている、と書いています。指導の内容では、許可の基準への違反がいちばん多いそうです。

ただし、指導を受けた事業者の国籍を見ると、日本国籍が半分強でした。案は、国籍に関わらず指導が行われている実態が確かめられた、とまとめています。

言葉の壁も挙げられています。移動報告のシステムは日本語だけに対応しています。自動車リサイクル促進センターは、新しく許可を申請する事業者に向けて、通訳とテキストを用意した研修を開いています。2024 年度は千葉県で 4 回開き、21 事業者の 30 名が受けました。テキストは、英語、ウルドゥー語、ペルシア語、中国語、タイ語などで作られています。

3-3 許可の基準は、これから変わる

報告書の案は、解体業の許可の基準に手を入れる方針を示しています。すべての解体業者を対象に、「知識・技能要件」を設けることが必要だ、というものです。廃棄物処理法と同じ考え方だと説明されています。

時期も書かれています。2026 年度から準備を始めるべきである、という書き方です。あわせて、自動車リサイクル促進センターが主体になって、講習会や検定を行うべきだとしています。

一部の自治体からは、解体作業場に屋根を付けることの義務化と、「もぎ取り解体」の禁止を求める声があったそうです。もぎ取り解体とは、許可のある解体業者の事業所の中で、その業者の監督と責任のもとで、外の人が部品を取ることです。

この二つについて、案は結論を出していません。いろいろな意見があったので、全国の実態をさらに調べ、関係者と議論したうえで対応を考える、としています。

これは、まだ案の段階の文書です。決まった制度ではありません。けれども、ここまで見てきた数と並べると、話の向きは読み取れます。許可の数は減り、新しい顔ぶれが入り、基準を上げる話が出ている。許可を持っていることに加えて、知識と技能を示すことを求める、というのが案の考え方です。

SOURCES出典

  1. 経済産業省・環境省「自動車リサイクル法の施行状況」(令和7年9月5日)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/060_s02_00.pdf(2026-10-02 確認)
  2. 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター「自動車リサイクルデータBook 2024」
    https://www.jarc.or.jp/renewal/wp-content/uploads/2018/10/databook2024.pdf(2026-10-02 確認)
  3. 産業構造審議会・中央環境審議会 合同会議「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)」
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/066_03_00.pdf(2026-10-02 確認)
  4. 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター「自動車リサイクルに関するデータ/活動実績 等」(2025年10月14日)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/061_04_00.pdf(2026-10-02 確認)
  5. 政府統計の総合窓口 e-Stat「日本標準産業分類(平成25年10月改定)5423 自動車中古部品卸売業」
    https://www.e-stat.go.jp/classifications/terms/10/03/5423(2026-10-02 確認)
  6. 政府統計の総合窓口 e-Stat「日本標準産業分類(平成25年10月改定)5362 鉄スクラップ卸売業」
    https://www.e-stat.go.jp/classifications/terms/10/03/5362(2026-10-02 確認)
  7. 環境省「自動車リサイクルの概要」
    https://www.env.go.jp/recycle/car/gaiyo.html(2026-10-02 確認)
  8. 経済産業省・環境省ほか「自動車リサイクル法に関する主なQ&A 解体業者編」
    https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/automobile_recycle/other/pdf/explanation/kaitaiQA.pdf(2026-10-02 確認)

この記事は、上の資料の原文を確かめたうえで書いています。台数や割合などの数は、資料に書かれているものだけを使いました。制度や手続き、税金の決まりは変わることがあります。実際の手続きは、運輸支局、税務署、都道府県の窓口などでお確かめください。

CONTRIBUTOR山岸 勇輝Yuuki YAMAGISHI

独立研究者(Independent Researcher)。公式の資料や統計など、一次の資料にあたって書くことを続けている。

yamagishiyuuki.com

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