鈴木商会SUZUKI SHOKAI ・ TOKYO EDOGAWA
営業日のご案内営業時間 9:00~17:30
EN

トップ / 資料室 / 産業のすがた

リサイクル料金は、どこに預けられ、どこへ払われるのか

新車のときに預けたお金が、解体の日まで待っている。八千億円を超える残高の中身

新車のときに預けたお金が、解体の日まで待っている。八千億円を超える残高の中身

車を買うときに払うリサイクル料金は、その場で使われるわけではありません。その車が解体される日まで、預けられたままです。預かっているお金は、全国で八千億円を超えます。だれが預かり、どう持ち、いつ、だれに払うのか。使われなかったお金はどうなるのか。国と自動車リサイクル促進センターの資料でたどります。

CHAPTER 1だれが、いつ、いくら払うのか

1-1 料金は、車を買うときに預ける

自動車リサイクル法は、リサイクルにかかる費用を、車の持ち主が負担すると決めています。払う時期は、原則として新車を買うときです。前払いの仕組みです。

料金の中身は、三つの品目に分かれています。シュレッダーダスト、エアバッグ類、フロン類です。この三つは、解体のあとにメーカーや輸入業者が引き取って、リサイクルや破壊をするものです。その費用を、持ち主が先に預けます。

このほかに、情報管理料金と資金管理料金があります。車の移動を記録する仕組みと、預かったお金を管理する仕組みのための料金です。国が配った Q&A は、最初の三つと情報管理料金の合計を「リサイクル預託金」と呼び、資金管理料金はそこに含まない、と説明しています。

金額は、メーカーや輸入業者が、車一台ごとに決めて公表します。環境省の説明は、こうすることでメーカーの間に競争が生まれ、リサイクルしやすい車の設計や、料金の低減が進むと考えられる、と書いています。

預けていないと、車は登録できません。法律の第 74 条は、料金が預けられていなければ新車の新規登録ができない、と定めています。制度が始まったときにすでに走っていた車は、最初の車検のときに預けました。この車検のときの預託は、2008 年 1 月に終わっています。

1-2 一台あたり、いくらか

では、一台あたりいくらなのでしょうか。審議会の報告書の案は、三つの品目の預託金の合計を出しています。2024 年度(令和 6 年度)は、一台あたり 11,164 円でした。制度ができたころから下がる傾向にあったものが、いまは以前の水準に戻っている、という説明が付いています。

車種ごとの金額は、メーカーの公表を見るしかありません。ただ、一つだけ、公的な機関が決めている料金があります。並行輸入車のように、リサイクルの義務を負うメーカーや輸入業者がいない車の料金です。指定再資源化機関である自動車リサイクル促進センターが決めます。

TABLE並行輸入車などの一台あたりのリサイクル料金(円)。普通乗用車で車両重量が 1,350 kg の場合の例
品目2015 年度2020 年度2024 年度
フロン類1,5601,6201,800
エアバッグ類3,0404,6305,960
シュレッダーダスト6,7108,24011,320
合計11,31014,49019,080

この例では、2015 年度の合計が 11,310 円、2024 年度が 19,080 円です。九年で七割ほど上がりました。いちばん大きいのはシュレッダーダストの料金で、6,710 円から 11,320 円になっています。

この表の金額には、情報管理料金と資金管理料金は入っていません。預けるときには別に必要だ、と注があります。また、これは並行輸入車などの例で、メーカーが決める国産車や正規輸入車の料金とは別のものです。

1-3 一年に預けられる額

一年に預けられる額を見ます。2024 年度に新車を買うときに預けられたのは、458 万台ぶん、513 億円でした。

新車のとき以外に預ける場合もあります。空港や工場の敷地の中だけで走っていた車などは、新車のときに預けていないことがあります。そういう車は、使用済みになって引取業者に渡すときに預けます。2024 年度は 2.0 万台、1.2 億円でした。

制度が始まった 2005 年度は、桁が違いました。預けられたのは 39,509,431 台、375,454,322 千円です。そのうち 31,054,842 台が、車検のときの預託でした。すでに走っていた車が、三年ほどのあいだに次々と預けたからです。

いまは、ほとんどの車が預け終わっています。報告書の案によると、預託の割合は 2007 年度から 90 パーセントを超えています。使用済みになる前に預けておく、という形はおおむね達成された、と案は書いています。

預けたお金は、車に付いて回ります。料金を預けた車を中古車として売るときは、買い手が預託金にあたる額を売り手に払います。料金は、持ち主が変わるたびに受け渡され、最後の持ち主が負担した形になります。

CHAPTER 2預かったお金は、どこにあるのか

2-1 八千億円を超える残高

預かったお金を管理するのは、資金管理法人です。国の指定を受けた、公益財団法人の自動車リサイクル促進センターがこの役目をしています。環境省の説明は、理由を一つ挙げています。メーカーが倒産したり解散したりしても、お金がなくならないようにするためです。

2024 年度の終わりに預かっていたのは、81,530,478 台ぶんでした。金額の残高は 863,009,514 千円です。八千六百億円あまりになります。

日本で持たれている車は約 7,859 万台です。預かっている台数は、それより少し多くなっています。報告書の案は、預託の割合を出すとき、分母に、登録されている車のほか、一時抹消の車と、輸出のための仮の抹消をした車を入れています。走っていない車のぶんも、預かったままになっているわけです。

車が解体されるのは、平均すると新車から 17.0 年あとです。預けられたお金は、そのあいだ、ずっと待っています。一台ごとの額は一万円ほどでも、八千万台ぶんが積み上がると、この大きさになります。

環境省は、資金管理法人の裁量は最小限に抑え、高い透明性と公開性を確保している、と説明しています。次の項で見るように、お金の持ち方も細かく公表されています。

2-2 お金は、債券で持たれている

預かったお金は、債券で運用されています。2024 年度の終わりに持っていた債券は、額面で 8,836 億円でした。

FIGURE持っている債券の種類(額面・億円・2024 年度末)
国債5,806
地方債1,606
政府保証債1,268
財投機関債128
社債28

国債が 5,806 億円で、全体の 65.7 パーセントです。地方債が 18.2 パーセント、政府保証債が 14.3 パーセント。この三つで、ほとんどを占めます。自動車リサイクル促進センターは、元本を守ることを前提に、安全で確実な運用をしている、と書いています。

運用の成績も出ています。2024 年度の運用収益は 30 億円、資産全体の利回りは 0.44 パーセントでした。2015 年度は 96 億円、1.01 パーセントです。収益は、九年で三分の一ほどになりました。

預けたお金には、利息が付きます。2024 年度に利息の計算に使われた利率は 0.325 パーセントでした。この利息は、次に見る払渡しや返還のときに、元本と一緒に動きます。

2-3 解体されると、メーカーへ払い渡される

預けたお金が動くのは、車が解体に回ったときです。メーカーや輸入業者は、フロン類、エアバッグ類、シュレッダーダストを引き取ると、その車の預託金の払渡しを請求できます。

2024 年度の払渡しは、利息を含めて 289 億円でした。元本が 253 億円、利息が 36 億円です。

FIGURE払い渡されたリサイクル料金(利息を含む・億円・2024 年度)
シュレッダーダスト169
エアバッグ類62
フロン類53
情報管理料金6

いちばん大きいのは、シュレッダーダストの 169 億円です。件数で見ると、シュレッダーダストが 237 万台、エアバッグ類が 228 万台、フロン類が 225 万台でした。

メーカーは、払い渡されたお金で、指定の引取場所や処理の施設に費用を払います。差し引きがどうなったかも、公表されています。報告書の案によると、メーカー全体の収支は、2019 年度に約 41 億円の黒字でした。2024 年度は約 9 億円です。

国とメーカーは、仕組みを変えることにしました。預託金と利息を上限に、実際にかかった費用だけを請求する方式です。案は、これを 2026 年度に入れると書いています。

CHAPTER 3使われなかったお金

3-1 輸出すると、返ってくる

預けたお金が使われない場合があります。いちばん多いのは、車が中古車として輸出された場合です。日本で解体されないので、日本でリサイクルする費用は要りません。

この場合、持ち主は料金の返還を請求できます。条件は、輸出したことを示す書類を出すことと、国土交通省などで輸出の記録がされることです。請求するのは、おもに中古車の輸出業者です。

2024 年度に返還されたのは 163 万台ぶんでした。元本が 188 億円、利息が 15 億円です。払渡しの元本が 253 億円でしたから、その四分の三ほどの額が、輸出で返されています。

制度が始まってからの累計も出ています。2005 年度から 2024 年度までに、返還は 23,842,743 台、290,828,175 千円でした。二十年で、二千九百億円あまりです。

輸出したのに、請求されないこともあります。輸出から 2 年のあいだ請求がなければ、時効になります。このお金は、次の項で見る、別の箱に入ります。

3-2 行き先のなくなったお金

使う必要がなくなり、返す相手もいないお金は、「特定再資源化預託金等」という名前で、別に管理されます。略して特預金です。

どういうときに生まれるかは、決まっています。輸出のあと 2 年のあいだ返還の請求がなかった場合。廃車ガラが輸出されるなどして、シュレッダーダストの処理が要らなくなった場合。フロン類が再利用された場合。事故などで、エアバッグ類やフロン類の処理が要らなくなった場合です。

2025 年 1 月から、もう一つ加わりました。最後の車検の日か、車検証を返した日から 20 年がたった車の預託金です。制度が始まってから 20 年がたち、この時効が初めて生まれました。

TABLE2024 年度に生まれた特預金(百万円)
生まれた理由金額
廃車ガラの輸出など(非認定全部利用)1,072
20 年の時効712
輸出のあとの返還の時効352
事故など(フロン類)352
事故など(エアバッグ類)231
フロン類の再利用58
利息400
合計3,176

2024 年度に生まれた特預金は、3,176 百万円でした。いちばん大きい理由は、廃車ガラの輸出などの 1,072 百万円です。廃車ガラの輸出が増えると、この箱に入るお金も増えます。

3-3 離島と、仕組みの維持に使われる

特預金の使い道は、法律で決まっています。使うには、経済産業大臣と環境大臣の承認が要ります。2024 年度に使われたのは、2,776 百万円でした。

いちばん大きかったのは、情報システムの作り直しです。2,464 百万円が使われました。車の移動を記録するシステムは、2005 年 1 月から二十年動いてきました。作り直しの費用は全体で約 145 億円で、新しいシステムは 2026 年 1 月に動き始めています。

次が、離島の支援です。離島で出た使用済みの車は、船で運ばなければ処理できません。その海上輸送の費用のうち、8 割を上限に支援します。2024 年度は 77 の市町村の 20,024 台が対象で、特預金からは 161 百万円が使われました。運ぶ費用は、平均して一台あたり 6.8 千円です。

不法投棄された車を自治体が片づけたときの支援も、使い道の一つです。これまでに三つの自治体に、合わせて 17 百万円が出されました。2024 年度の実績はありません。

2024 年度の終わりの残高は 240 億円でした。元本が 208 億円、利息が 32 億円です。自動車リサイクル促進センターの見通しでは、2040 年代に次のシステムの作り直しがあり、2050 年度の残高は 103 億円になります。国は、この見通しを踏まえて、リサイクル料金の一部を割り引くことはしない、と決めました。

SOURCES出典

  1. 経済産業省・環境省「自動車リサイクル法の施行状況」(令和7年9月5日)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/060_s02_00.pdf(2026-10-02 確認)
  2. 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター「自動車リサイクルデータBook 2024」
    https://www.jarc.or.jp/renewal/wp-content/uploads/2018/10/databook2024.pdf(2026-10-02 確認)
  3. 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター「自動車リサイクルに関するデータ/活動実績 等」(2025年10月14日)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/061_04_00.pdf(2026-10-02 確認)
  4. 産業構造審議会・中央環境審議会 合同会議「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)」
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/066_03_00.pdf(2026-10-02 確認)
  5. 環境省「自動車リサイクルの概要」
    https://www.env.go.jp/recycle/car/gaiyo.html(2026-10-02 確認)
  6. 経済産業省「自動車リサイクル法」
    https://www.meti.go.jp/policy/recycle/main/admin_info/law/08/index.html(2026-10-02 確認)
  7. 経済産業省・環境省ほか「自動車リサイクル法に関する主なQ&A 解体業者編」
    https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/automobile_recycle/other/pdf/explanation/kaitaiQA.pdf(2026-10-02 確認)

この記事は、上の資料の原文を確かめたうえで書いています。台数や割合などの数は、資料に書かれているものだけを使いました。制度や手続き、税金の決まりは変わることがあります。実際の手続きは、運輸支局、税務署、都道府県の窓口などでお確かめください。

CONTRIBUTOR山岸 勇輝Yuuki YAMAGISHI

独立研究者(Independent Researcher)。公式の資料や統計など、一次の資料にあたって書くことを続けている。

yamagishiyuuki.com

← 使用済みの車は、年に何台出て、どこへ行くのか自動車リサイクル法は、何を決めた法律か →