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事故や災害で壊れた車は、手続きがどう変わるのか

税金が止まる日、証明書、別の還付の制度。役所の案内で読む

税金が止まる日、証明書、別の還付の制度。役所の案内で読む

車は、古くなって手放すとは限りません。事故で動かなくなる。盗まれる。水に浸かる。そういうときは、ふつうの廃車と、手続きが少し違います。税金がいつから止まるのか。どんな証明書が要るのか。災害のときだけ使える還付の制度もあります。東京都主税局と国税庁の案内、自動車リサイクル促進センターの資料に書かれていることを、順に確かめます。

CHAPTER 1事故で壊れた車、盗まれた車

1-1 事故のあとは、まず抹消登録

事故で車が使えなくなったとき、自動車税はどうなるのでしょうか。東京都主税局の答えは、短い一文から始まります。早急に抹消登録をしてください。

抹消登録をすれば、登録が消された日の次の月のぶんから、自動車税が減額されます。これは、ふつうの廃車と同じです。事故の日ではなく、登録を消した日が基準になります。

ただ、事故の場合には、もう一つの道があります。車を解体した場合です。主税局は、交通事故証明書と、解体の日が分かる証明書を付けて申し立てれば、交通事故にあった日の次の月のぶんから減額する、と書いています。

例も出ています。交通事故にあった日が 6 月 10 日の場合は、7 月から次の年の 3 月までの 9 か月ぶんが減額されます。

違いは、基準の日です。抹消登録だけなら、登録を消した日。証明書をそろえて申し立てれば、事故の日。事故から手続きまで間が空いた場合には、この違いが、税金の額に出ます。ここで読んだのは東京都の案内です。ほかの道府県については、それぞれの案内を確かめてください。

1-2 要る証明書

申し立てに要るものを、主税局の案内から拾います。三つあります。

一つ目は、事故車申立書です。主税局のホームページに、用紙と書き方の例があります。

二つ目は、交通事故証明書です。案内は、警察に届け出た交通事故について、自動車安全運転センターが発行する証明書、と説明しています。申請のしかたは、そのセンターのホームページを見るように、とあります。

三つ目は、解体の日が分かる証明書です。次の三つのうち、どれか一つです。解体報告記録日が書かれた登録事項等証明書。自動車リサイクルシステムのホームページで見られる、処理の状況を調べる画面の写し。解体業者が発行した解体証明書。

二つ目の画面の写しについては、解体報告記録日が書かれているものに限る、と断ってあります。この場合は電話での受付もしている、とも書かれています。

事故で動かなくなった車を手放すときは、これらの書類が後で要ることを、覚えておくとよいでしょう。車を引き取った業者に、解体の日が分かるものをもらえるか、先に聞いておくことです。

1-3 盗まれた車

車を盗まれた場合も、主税局の案内に書かれています。

警察署が盗難の被害届を受理している場合は、申し立てをすれば、被害届が受理された日の次の月のぶんから、自動車税が減額されます。基準は、盗まれた日ではなく、被害届が受理された日です。案内は、そこをかっこ書きで念を押しています。

条件があります。被害届が受理された日から 1 か月以上、車が見つからない場合に減額する、というものです。例では、被害届が 6 月 10 日に受理され、1 か月以上見つからなかった場合、7 月から次の年の 3 月までの 9 か月ぶんが減額されます。

一方、自動車重量税は、盗難では戻りません。国税庁は、廃車還付の制度について、こう答えています。この制度は、法律にもとづいて適正に解体された車を対象にしている。だから、車が盗難にあった場合も、売った場合や下取りに出した場合と同じく、還付を受けることはできない。

二つの税金で、扱いが違います。自動車税は、車を使えなくなったことに応じて止まります。重量税の還付は、車が適正に解体されたことが条件です。盗まれた車は、解体されたことを確かめられないので、戻らないのです。

CHAPTER 2災害で壊れた車

2-1 自動車税は、り災の日の次の月から

災害で車が使えなくなった場合も、主税局の答えは同じ一文から始まります。早急に抹消登録をしてください。抹消登録をすれば、登録が消された日の次の月のぶんから、減額されます。

車を解体した場合の道も、事故のときと同じ形です。り災に関する証明書と、解体の日が分かる証明書を付けて申し立てれば、り災の日の次の月のぶんから減額されます。

り災に関する証明書について、案内は説明を付けています。消防署か、区市町村が発行する証明書です。申請のしかたは、消防署か区市町村に問い合わせてください、とあります。

大事な注意が一つあります。り災に関する証明書には、り災した車の登録番号などが書かれていることが必要です。証明書を申請するときに、車の登録番号を書いてもらえるかを、発行する窓口で確かめておくことです。

例では、り災した日が 6 月 10 日の場合、7 月から次の年の 3 月までの 9 か月ぶんが減額されます。大きな災害のときは、主税局が、その災害ごとの案内を別に出しています。

2-2 重量税には、災害のための別の制度がある

自動車重量税には、災害のときだけ使える還付の制度があります。ふつうの廃車還付とは、別の制度です。国税庁のタックスアンサーに、中身が書かれています。

対象は、2016 年 4 月 1 日からあとに起きた自然災害で、車検の有効期間のうちに被害を受けて、廃車になった車です。持ち主は、永久抹消登録か、滅失や解体の届出の手続きをして、還付の申請書を出します。

自然災害には、決まりがあります。暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火などによる被害のうち、被災者生活再建支援法の適用を受ける災害です。どの災害が適用を受けているかは、内閣府のホームページで確かめられます。

被災自動車の例も挙がっています。洪水などで水に浸り、使えなくなった車。車庫の倒壊などで車体が壊れ、使えなくなった車。

条件は二つです。災害の起きた日から、車検の有効期間が終わる日までが、1 か月以上あること。そして、災害の起きた日から 5 年以内に、還付の申請書を出すこと。申請書を出す先は、運輸支局か軽自動車検査協会です。

2-3 ふつうの廃車還付と、どこが違うか

二つの制度を並べると、違いが分かります。

TABLE自動車重量税の二つの還付の制度
廃車還付災害の還付
対象法律にもとづいて適正に解体された使用済みの車被災者生活再建支援法の適用を受ける災害で、滅失したか解体した車
戻る期間車検の残りの期間のぶん災害の起きた日から、車検の有効期間が終わる日までのぶん
残りの期間1 か月以上1 か月以上
申請の時期永久抹消登録の申請か解体届出と同時災害の起きた日から 5 年以内
出す先運輸支局か軽自動車検査協会運輸支局か軽自動車検査協会

いちばん大きな違いは、数え始める日です。災害の還付では、災害の起きた日から数えます。車が使えなくなった日から、車検が切れる日までのぶんが戻ります。手続きが遅れても、戻る額は減りません。

もう一つの違いは、解体されていなくてもよいことです。国税庁の手続きの案内は、対象を、災害を原因として「滅失し、又は解体した」車、と書いています。車そのものが無くなった場合も、対象に入る書き方です。

申請の時期にも、ゆとりがあります。ふつうの廃車還付は、登録を消す手続きと同時でなければなりません。災害の還付は、タックスアンサーでは、永久抹消登録の手続きと同時に出してください、と案内されていますが、期限としては 5 年あります。

相続人が申請する場合は、戸籍謄本を付けます。代理人が申請したり、還付金を受け取ったりするための委任状の用紙も、国税庁のページに用意されています。実際に申請するときは、国税庁のいまの案内と、運輸支局で確かめてください。

CHAPTER 3壊れた車を、片づける

3-1 値打ちが下がると、だれも取りに来ない

事故や災害で壊れた車は、解体の現場から見ても、ふつうの車と違います。

審議会の報告書の案は、被災した車について、こう書いています。焼けた車、水に浸かった車、落ちた車は、ふつうの使用済みの車に比べて、資源としての値打ちが低い。焼けた車は自分で走れないので、片づけ、運搬、処理に、重機や公の支援が要ることが多い。

自動車リサイクル促進センターの資料は、災害のあとの車を、値打ちで三つに分けた図を載せています。形が残っていて、自分で走れるか引いていける車。壊れたり、落ちたり、水に浸かったりした車。焼けてしまった車。

一つ目は、持ち主が自分で対応できます。直して乗る。中古車として売る。使用済みの車として、引取業者に渡す。ふつうの道です。

三つ目は、そうはいきません。センターは、資源の値打ちが無いので、運ぶのにも処理にも費用がかかり、持ち主の責任では適正な処理ができず、自治体の支援が必要になる、と書いています。値の付かない車は、だれも取りに来ません。

3-2 能登半島地震のとき

2024 年 1 月の能登半島地震では、この問題が実際に起きました。報告書の案は、国、自治体、関係の団体、事業者が連携して、被災した車の片づけと処理を行った、と書いています。

センターの資料には、朝市の火災で被災した 81 台の例が載っています。焼けた車は、自分では動けません。重機で運び出すところから始まります。

センターの役目は、つなぐことです。災害が起きたら、自治体と一緒に現地を調べる。支援が要る場合は、国、被災した自治体、解体の業界の団体と連携して、片づけとリサイクルに協力する。資料は、そう説明しています。

持ち主への案内も、その中に入っています。災害が起きたとき、自治体を通して、被災した人に、車の処理の手順を書いたチラシを配ります。車検が残っていれば重量税の還付がある、ということも、流れの図に書かれています。

経験は、次に引き継がれます。センターは、能登での経験をもとに、自治体向けの手引きと事例集を作り直しました。2025 年度には、自治体の担当者に向けた説明会を 6 回開き、合わせて 255 名が参加しています。

3-3 番号の分からない車、使われなかった料金

災害のあとには、だれの車か分からない車も出ます。センターの資料は、津波で車のありかが持ち主に分からなくなる場合を挙げています。

センターの資料は、その場合の流れも図にしています。現地を調べる。車を片づけて、移して、保管する。持ち主や使用者の情報を確かめて、公示する。持ち主に意思を確かめる。それから、解体とリサイクルの処理に進みます。

番号の分からない車のリサイクル料金は、どうするのでしょうか。資料には、資金管理料金から引き当てる、と書かれています。車を移したり処理したりする費用は、公のお金などでまかないます。

事故や災害は、リサイクル料金の行き先も変えます。事故でエアバッグが作動したあとの車には、回収するエアバッグ類がありません。フロン類が抜けてしまった車もあります。そういう車の料金は、使われずに残ります。

データBook によると、2024 年度に、事故などで使われなくなった料金は、エアバッグ類が 231 百万円、フロン類が 352 百万円でした。このお金は、特定再資源化預託金等になります。そして、その中から、大きな災害への備えにも、お金が出されています。2024 年度は、自治体向けの災害の研修と、手引きの提供に、7 百万円でした。使われなかった料金の一部が、災害で壊れた車を片づける備えに回っていることになります。

SOURCES出典

  1. 東京都主税局「自動車税」(よくある質問)
    https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/automobiles/j(2026-10-02 確認)
  2. 国税庁 タックスアンサー「No.8016 自然災害により自動車に被害を受けた場合の自動車重量税の還付制度」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/saigai/8016.htm(2026-10-02 確認)
  3. 国税庁「D8-2 被災自動車に係る自動車重量税の還付申請手続(自然災害関係)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/jidosha/annai/23120160.htm(2026-10-02 確認)
  4. 国税庁 タックスアンサー「No.7193 使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7193.htm(2026-10-02 確認)
  5. 国税庁「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度について」(よくある質問)
    https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/jidoshajuryo/qa/02.htm(2026-10-02 確認)
  6. 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター「自動車リサイクルに関するデータ/活動実績 等」(2025年10月14日)
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/061_04_00.pdf(2026-10-02 確認)
  7. 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター「自動車リサイクルデータBook 2024」
    https://www.jarc.or.jp/renewal/wp-content/uploads/2018/10/databook2024.pdf(2026-10-02 確認)
  8. 産業構造審議会・中央環境審議会 合同会議「自動車リサイクル制度の施行状況の評価・検討に関する報告書(案)」
    https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/066_03_00.pdf(2026-10-02 確認)

この記事は、上の資料の原文を確かめたうえで書いています。台数や割合などの数は、資料に書かれているものだけを使いました。制度や手続き、税金の決まりは変わることがあります。実際の手続きは、運輸支局、税務署、都道府県の窓口などでお確かめください。

CONTRIBUTOR山岸 勇輝Yuuki YAMAGISHI

独立研究者(Independent Researcher)。公式の資料や統計など、一次の資料にあたって書くことを続けている。

yamagishiyuuki.com

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