「廃車」という名前の手続きはない。車の登録を消す道を、役所の案内で読む
「廃車にする」と言っても、役所の窓口に「廃車」という名前の手続きはありません。あるのは、登録を一時的に止める手続き、解体したあとに登録を消す手続き、輸出のための手続きです。どれを選ぶかで、あとから出来ることが変わります。国土交通省と国税庁、東京都主税局の案内を読みながら、順番と、まちがえやすいところを整理します。
CHAPTER 1「廃車」という手続きはない
1-1 登録を消す手続きは、三つある
国土交通省の案内は、抹消登録をこう説明しています。登録を受けている車の使用を一時中止する場合、解体をした場合、または輸出する場合に、抹消登録の手続きが必要になる。場合は三つで、手続きも三つです。
一つ目は、一時抹消登録です。車の使用を一時的に中止したときの手続きです。車はまだあります。登録だけを止めます。一時抹消をした車は、そのあとで解体することも、輸出することも、持ち主を変えることもできます。次の項で見るように、それぞれに届出があります。
二つ目は、永久抹消登録です。案内は、車をリサイクル事業者に引き渡し、適正に解体処分した場合に必要な手続き、と書いています。車そのものが、もう無い場合です。
三つ目は、輸出抹消仮登録です。車を輸出する場合の手続きで、申請書に輸出の予定日を書きます。
必要な書類は、手続きごとに違います。手数料も違います。国土交通省の案内では、永久抹消登録の手数料は無料です。輸出抹消仮登録は、手数料の印紙を貼った納付書を出します。
ふだん「廃車」と呼んでいるのは、このうちの一時抹消か永久抹消です。どちらなのかで、あとの話がまったく変わります。車を手放すときは、どちらの手続きになるのかを、まず確かめておくことです。
| 手続き | どんなとき | 車は |
|---|---|---|
| 一時抹消登録 | 使用を一時的に中止したとき | まだある |
| 永久抹消登録 | リサイクル事業者に引き渡し、適正に解体処分したとき | 解体されている |
| 輸出抹消仮登録 | 輸出するとき | 輸出される |
1-2 一時抹消のあとにも、届出がある
一時抹消は、止めただけです。そのあと車がどうなったかは、別に届け出ます。国土交通省の案内には、一時抹消登録のあとの届出として、三つが並んでいます。
一つは、解体届出です。一時抹消をしている車が、自動車リサイクル法にもとづいて適正に解体処理されたときの手続きです。出すのは、解体届出書と、一時抹消のときに受け取った登録識別情報等通知書などです。手数料は無料です。
もう一つは、輸出の届出です。一時抹消をしている車を輸出しようとするときに必要で、輸出の予定日の 6 か月前から届け出ることができます。届け出ると、輸出予定届出証明書が交付されます。
三つ目は、所有者の変更の記録です。一時抹消をしている車の持ち主が変わったことを、記録しておきたいときの手続きです。
この届出は、自動車リサイクル法と同じときに始まりました。それまでは、一時抹消のあとに解体や輸出をしても、運輸支局への手続きは要りませんでした。法律の施行に合わせて、必ず届け出ることになった、と国の Q&A は説明しています。
1-3 軽自動車は、窓口と呼び名が違う
ここまでは、登録自動車の話です。軽自動車は、窓口も手続きの呼び名も違います。国税庁の案内に、分かりやすい表があります。
| 区分 | 手続き | 出す先 |
|---|---|---|
| 登録自動車(一時抹消をしていない) | 永久抹消登録申請 | 使用の本拠の位置を管轄する運輸支局か自動車検査登録事務所 |
| 登録自動車(一時抹消をした) | 解体届出 | 最寄りの運輸支局か自動車検査登録事務所 |
| 軽自動車(車検証を返納していない) | 自動車検査証の返納を伴う解体届出 | 使用の本拠の位置を管轄する軽自動車検査協会の事務所 |
| 軽自動車(車検証を返納した) | 解体届出 | 最寄りの軽自動車検査協会の事務所 |
登録自動車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会です。軽自動車には「永久抹消登録」という呼び名は出てきません。どちらも解体届出です。
一時抹消をしていない車は、使用の本拠の位置を管轄する窓口へ。一時抹消をした車は、最寄りの窓口でよい。この違いもあります。
どちらの窓口でも、車検が 1 か月以上残っていれば、同じときに重量税の還付を申請できます。還付の申請書は、永久抹消登録の申請書や解体届出書と一体の用紙になっています。窓口の一覧は、国土交通省と軽自動車検査協会のホームページにあります。
国土交通省の案内は、家からインターネットで申請することもできる、と書いています。自動車保有関係手続のワンストップサービスという仕組みです。くわしい条件は、そのサービスの案内で確かめてください。
CHAPTER 2解体してから、登録を消す
2-1 順番は、引渡し、解体、連絡、申請
永久抹消登録は、車を解体する前にはできません。順番があります。国税庁の案内は、その順番を一つの文で書いています。
最後の持ち主が、リサイクルのために、ディーラーなどの引取業者へ車を引き渡す。そのあと、引取業者から、車が解体されたという連絡を受ける。それから手続きをする、という順番です。
引取業者は、どうやって解体されたことを知るのでしょうか。国の Q&A によると、引取業者は、自分が引き取った車が解体されたことを、パソコンの画面で確かめます。電子マニフェストの記録です。それを持ち主に知らせます。
期限もあります。国税庁の案内は、参考として、こう書いています。解体による永久抹消登録の申請や解体届出は、引取業者から解体の連絡を受けた日から、15 日以内に行わなければならないとされている。
手続きを、引取業者が代わりに行うこともあります。国の Q&A は、申請の手続きを従来どおり引取業者が代行することも想定される、と書いています。その場合でも、いつ手続きが済んだのかは、持ち主が確かめておくことです。
2-2 申請書に書く、二つのこと
永久抹消登録の申請書には、解体に関わる二つのことを書きます。国土交通省の案内は、「解体報告記録がなされた日」と「解体に係る移動報告番号」と書いています。解体届出書でも同じです。
どちらも、電子マニフェストの記録に出てくるものです。車が解体の工程まで進み、その報告が記録されて、はじめて分かります。
どこで分かるのでしょうか。青森運輸支局の案内は、車の引取業者か、リサイクル券の使用済自動車引取証明書などで確かめてください、と書いています。車を渡すときに受け取る書類を、手続きが終わるまで取っておく理由がここにあります。
車を渡してから、この情報が取れるようになるまでの日数も、統計があります。自動車リサイクル促進センターのデータBook によると、2024 年度の平均は 12.2 日でした。
国税庁は、この手続きのときに、適正に解体されたことの確認を行うことになっている、と説明しています。申請書の二つの記入は、その確認のためのものです。解体の記録がないうちは、この手続きには進めません。
2-3 用意する書類
永久抹消登録で出す書類を、国土交通省の案内から拾います。場合によって違うので、ここに書くのは基本の形です。
申請書は、第 3 号様式の 3 です。持ち主本人が直接申請するときは、実印を押します。手数料納付書も出しますが、手数料は無料です。
持ち主の印鑑証明書が要ります。発行から 3 か月以内のものです。代理人が申請するときは、実印を押した委任状を付けます。
車検証と、ナンバープレートを返します。盗まれたり無くしたりして返せないときは、その理由を書いた書面を出します。
車検証の住所や氏名が今と違うときは、つながりが分かる書面が要ります。個人なら住民票や戸籍の附票、法人なら商業登記簿の謄本などです。引っ越しを二回以上していて、住民票だけではつながりが追えないときは、住民票の除票や戸籍の附票も用意してください、と案内にあります。
持ち主が亡くなっている場合の扱いも書かれています。相続人のうち一人からの申請でも受け付ける。その場合、相続による名義の移転はしない。亡くなったことと、相続の関係が分かる戸籍謄本などを付ける、というものです。実際に何が要るかは、あらかじめ運輸支局に確かめてください。
CHAPTER 3まちがえやすいところ
3-1 業者に渡した日は、登録が消えた日ではない
いちばん多い思い違いは、日付です。車を業者に渡した日に、廃車が済んだと思ってしまうことです。
東京都主税局は、自動車税の説明の中で、はっきり書いています。廃車した日とは、業者などに車を引き渡した日ではない。運輸支局や自動車検査登録事務所で、実際に抹消登録した日である。
続けて、こうも書いています。業者に車を引き渡しても、すぐに廃車されるとは限らない。抹消登録されたかどうかは、廃車を頼んだ業者に確かめてください。
日付は、税金に関わります。自動車税は、4 月 1 日の時点で車検証に登録されている持ち主に、一年ぶんがかかります。廃車したのに納税通知書が届いた、という質問に、主税局は二つの場合を挙げています。3 月 31 日までに抹消登録が終わらなかった場合と、抹消登録がまだ行われていない場合です。
年度の終わりに車を手放すときは、とくに気を付けることです。車を渡した日ではなく、登録が消えた日が 3 月のうちかどうか。それで、次の年度の税金がかかるかどうかが決まります。
3-2 使用済みとして渡した車は、中古車に戻せない
もう一つは、渡し方です。車を「使用済自動車として引き渡す」のと、「中古車として下取りに出す」のとは、別のことです。
国の Q&A は、違いを説明しています。引取業者が使用済自動車として引き取り、電子マニフェストで引取りの報告をすると、その情報が国土交通省などに伝わります。そのあとは、中古車としての新規登録も、輸出のための手続きも、できなくなります。
つまり、使用済みとして渡した車を、あとで中古車として売ったり、輸出したりすることは、原則としてできません。再び売ったり輸出したりできるのは、中古車として下取りされた車だけです。
お金のやり取りも違います。中古車として下取りされるときは、リサイクル料金を預けてあれば、その預託金にあたる額を、車の値段と一緒に受け取ります。使用済みとして渡すときは、預けてあれば、料金のやり取りはありません。
税金も違います。重量税の還付があるのは、使用済みとして渡して、解体された場合だけです。中古車として売った場合には、還付はありません。同じ一台でも、どちらの渡し方かで、手続きもお金も変わります。
3-3 輸出するとき、半分に切るとき
輸出の手続きにも、まちがえやすいところがあります。輸出抹消仮登録は、中古車として輸出するための手続きです。2024 年度に、この登録をした車は 184 万台ありました。
一時抹消をしている車を輸出するときは、輸出の届出をします。輸出の予定日の 6 か月前から届け出ることができます。
では、車を半分に切って、部品として輸出する場合はどうでしょうか。国の Q&A は、これを取り上げています。車は、切る前に使用済みになっていると考える。だから、切ることは「使用済自動車の解体」にあたり、解体業の許可が要る、という答えです。
登録の手続きも、輸出の手続きではありません。Q&A は、輸出抹消仮登録や輸出の届出ではなく、永久抹消登録の申請か解体届出を行うことになる、と書いています。廃車ガラの輸出として扱われるので、リサイクル料金の返還もありません。
車がどうなったかで、手続きが決まります。止めただけなら一時抹消。解体されたなら永久抹消か解体届出。そのまま輸出されたなら輸出の手続き。迷ったときは、車がいまどうなっているかから考えると、道が分かります。実際の手続きは、運輸支局か軽自動車検査協会で確かめてください。
SOURCES出典
- 国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「抹消登録」
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/register/erase/index.html(2026-10-02 確認) - 国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「一時抹消登録後の届出」
https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/about/register/deregistration/index.html(2026-10-02 確認) - 国土交通省 東北運輸局 青森運輸支局「自動車の登録(永久抹消登録)」
https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/am/am-sub02-005.html(2026-10-02 確認) - 国税庁「使用済自動車に係る自動車重量税の廃車還付制度について」(よくある質問)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/jidoshajuryo/qa/02.htm(2026-10-02 確認) - 経済産業省・環境省ほか「自動車リサイクル法に関する主なQ&A 解体業者編」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/automobile/automobile_recycle/other/pdf/explanation/kaitaiQA.pdf(2026-10-02 確認) - 公益財団法人 自動車リサイクル促進センター「自動車リサイクルデータBook 2024」
https://www.jarc.or.jp/renewal/wp-content/uploads/2018/10/databook2024.pdf(2026-10-02 確認) - 東京都主税局「自動車税」(よくある質問)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/automobiles/j(2026-10-02 確認) - 経済産業省・環境省「自動車リサイクル法の施行状況」(令和7年9月5日)
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/jidosha_wg/pdf/060_s02_00.pdf(2026-10-02 確認)
この記事は、上の資料の原文を確かめたうえで書いています。台数や割合などの数は、資料に書かれているものだけを使いました。制度や手続き、税金の決まりは変わることがあります。実際の手続きは、運輸支局、税務署、都道府県の窓口などでお確かめください。